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2004 年度 実績報告書

進行悪性腫瘍治療に際し患者の選好を組入れるための決断支援システムに関する予備研究

研究課題

研究課題/領域番号 14657605
研究機関京都大学

研究代表者

小山 弘  京都大学, 医学研究科, 講師 (90273515)

キーワードAnalytical hierarchy process / 進行期悪性腫瘍 / 個人の価値 / 医学的決定 / 一般市民と医療従事者の比較
研究概要

AHPを用い、健常一般市民と医療従事者に対して、悪性腫瘍進行期の無症状期と終末期のシナリオにおける治療目的の価値付けを半定量的に測定し比較した。シナリオ1では、performance statusは良好ながら進行期肺癌であり、治癒的切除は期待できない状況での治療に対して、1)より苦痛が少ないこと、2)より長く生存すること、3)より長く仕事をできること、4)より長く家族と生活できること、5)より費用が少ないこと、の重要性を相対的に比較した。シナリオ2では、終末期の状況において、1)より苦痛が少ないこと、2)より長く生存すること、3)意識を清明に保つこと、4)より長く家族と生活できること、5)より費用が少ないこと、を比較した。本研究の2年次には健常一般人201名、3年次には医療従事者(医師92名、看護師集計中)を対象とした。
今年次は115名の医師が参加を表明し、91名から回答を得た。回答の整合性が比較的良好であった回答者に関して分析を行った。シナリオ1では、相対的な重み付けは、家族との生活が0.366、より少ない苦痛が0.281、仕事を続けることが0.153、より長い生存が0,135、より少ない費用が0.065であった。これは先に行った一般市民での調査と比較して、苦痛、費用に対する重み付けが低く、家族、仕事に対する重み付けが大きい傾向にあった。シナリオ2では、家族との生活が0.331、少ない苦痛が0.296、清明な意識が0.218、より長い生存が0.091、費用が0.064であった。これは一般市民と比較して、費用に対する重み付けが低く、家族に対する重み付けが大きい傾向にあった。このような直接的に患者の意向を尋ねる方法を望ましいと回答したのは健常一般市民、医師で同等であった(それぞれ60.7%、59.8%)。否定的な意見は、一般市民の15.9%に対して医師の18.5%であった。一般市民では若年者ほど否定的な意見が少なく、若年患者の希望と医師の認識が解離している可能性がある。このような方法は、一部の患者においては自分の意向を明確に伝える方法として、有用である可能性がある。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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