研究概要 |
平成14年度は,糖尿病疾患関連遺伝子のcDNAライブラリー作成の予備検討として,糖尿病の原因遺伝子として想定されているインスリン受容体遺伝子,IRS-1遺伝子,PPARg,カルパイン10のcDNAライブラリーを作成した.さらに,OLETFラットにおいて発病前後の遺伝子発現を測定した.OLETFは生後16〜20週にかけて発病するので,発病前後の血液,肝臓,筋肉,脂肪組織からmRNAを抽出し,上記の遺伝子についてmRNAの発現を測定し,疾患との関連を探った.その結果,カルパイン10は,糖尿病の発症前後で白血球におけるmRNAの発現が約50%低下していることを見出した.さらに,この傾向は,糖尿病の主要な標的組織である肝臓,脂肪,筋肉組織においても同様の傾向が見られ,カルパイン10のmRNAは糖尿病発症の予測遺伝子として利用できる可能性が示唆された.この研究成果は,北海道TLOより国際特許として出願中である.なお,OLETFラットに関しては,大塚製薬(株)生物研究所よりOLETFラット及びコントロールラットとしてLETOラットの供給を受けて実験を行った. 平成15年度は,OLETFラットの白血球を対象として,糖尿病関連遺伝子の網羅的解析を行う予定である.
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