研究課題/領域番号 |
14657619
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70159888)
|
研究分担者 |
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30254288)
藤本 征五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60079994)
|
キーワード | アンギオテンシンII / 一酸化窒素 / 血管平滑筋 / 内皮細胞 / cyclic GMP / 抵抗血管 / アンギオテンシンII受容体 / 血管弛緩 |
研究概要 |
抵抗血管の内皮機能における組織アンギオテンシンII (Ang II)の役割について、アンギオテンシン阻害薬による血管弛緩作用をウサギ腸間膜動脈を用いて検討した。 内皮温存標本で、1型Ang II受容体(AT_1R)阻害薬のolmesartan(1μM)とアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のtemocaprilat(1μM)は、それぞれノルアドレナリン(10μM)による収縮に対するアセチルコリン(ACh、0.03pM)の弛緩反応を亢進した。また、別のAT_1R阻害薬であるCV-11974や別のACE阻害薬であるenalaprilatでも同様の結果が得られた。NO合成酵素阻害薬であるL-ニトロアルギニンは、olmesartanによるACh弛緩反応の増強作用を消失させた。内皮除去標本において、olmesartanはNOドナーであるNOC-7(10nM)による弛緩反応を亢進した。 Olmesartanは内皮温存標本でのACh存在下および非存在下、あるいは内皮除去標本でのNOC-7存在下および非存在下でのcGMP産生には影響を与えなかったが、β-escinでスキンドした標本で、ノルアドレナリン+GTP存在下での0.3μM Ca^<2+>による収縮およびGTPγS存在下での0.2μM Ca^<2+>による収縮を、8-Br-cGMP(0.01-1μM)が濃度依存的に抑制した。Olemsartanは、この濃度反応曲線を左にシフトさせる傾向にあり、最大反応も増強させたが、Ang II(0.1nM)はこの濃度反応曲線を右にシフトさせ、最大反応を抑制した。 AT_1RおよびACEの存在(western blot法)と、Ang IIの局在(免疫組織化学的)も確認しており、これらより平滑筋細胞内に局在するAng IIがAT_1Rを活性化することによりAChによる内皮依存性弛緩反応を抑制していることが考えられ、その機序としてcGMPによる弛緩反応の抑制が関係していることが示唆された。
|