研究概要 |
今回の研究は、「香り」の心身への影響を科学的に確認し、くわえて先行研究の少ない中枢神経(脳の電気活動)に与える「香り」の影響を追究することで、「香り」が脳に与える影響を判明したい。ひいては脳の言語領域に与える「香り」を用いながら、自閉症児をはじめ、言語訓練の必要な対象者への活用を試みることにより、言語によるコミュニケーション発達プロセスの新しいデータとすることを意図したものであった。 しかし、脳波計を備えたシールドルーム内での「香り」の研究においては、残り香の問題を解決することが困難であり、一度使用したアロマオイルの香りがリネン類に残存するなどの問題が常に残される中で、多種のアロマオイルを対照とした手法を用いることができず、研究の目的を完遂することができなかった。 この研究の経過においては、第29回日本看護研究学会(2003年7月)での(1)アロマオイルを用いた温足浴の効果(第1報)-心理学的効果と自律神経系への影響-,(2)アロマオイルを用いた温足浴の効果(第2報)中枢神経系への影響、第22回日本生理心理学会(2004年5月)での(1)ラベンダーオイルを用いた温足浴のリラックス効果の検証-香りに対する嗜好の違いによるリラックス効果の比較-,(2)ラベンダー香を付加した足浴効果に関する生理心理学的検討(4)-自律神経系指標を中心に-の口頭発表と、原著論文1本の業績に留まってしまった。今後は、これらの研究データを再検討し、「香り」が及ぼす脳への影響についての更なる研究に望みたいと考える。
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