研究課題/領域番号 |
14657645
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
長江 弘子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (10265770)
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研究分担者 |
柳澤 尚代 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (10310369)
宮崎 紀枝 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (50349172)
酒井 昌子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (60236982)
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キーワード | 保健師活動 / 記録 / 情報公開 / 記録の質 / 思考過程 |
研究概要 |
本年度は記録改善の組織的取り組みを実施するため、記録に関する研修をその契機としてフィールドと協力し合いながら進めた。記録改善の取り組みを希望した自治体に出向き計画を立案した。その計画は第1段階として、昨年度の研修から引き続いた研修をさらに広域的に広げ、(1)全員研修を受けることを徹底する、(2)すべての市町村で同じ研修を受けるといった底上げ的な研修が主で、いまだ教育啓発の現状にとどまった。結果的に組織的改善にいたった自治体はなかった。しかし受講した職員は、保健師のみならず、事務職や福祉職、栄養士、薬剤師など多職種への広がりを見ることができた。また、若手保健師が立ち上げた時間外の自主勉強会が上司に認められ、記録マニュアル作成委員会として公的な委員会に位置づくなどの成果が見られた。このような現状から本年度の成果としては組織的改善の取り組みへの始動時期と考えられ、その準備期と位置づけることができた。 さらに本年度は、組織的改善の必要性を啓発するために、第62回日本公衆衛生学会学術集会(京都)で自由集会を企画した。自由集会では約60人が参加し、現状での改善への組織的課題がだされ、議論された。また保健師のみならず記録を管理する所長や課長が出席し、記録の評価視点などを求めており、記録の書き方に関する標準化の必要性が示唆された。 以上のような経緯から、行政機関における記録改善の組織的取り組みは、その意義をまず行政機関の長が認識する必要がある。そのためには本研究の成果を公開し、広く、多くの人にその意義を明確に示すことが必要と考える。また、記録の記載要領の事例集など、わかりやすい書き方の提案と記録の評価視点を明確化する重要性が示唆された。来年度は、自治体との協働的取り組みを継続しつつ、研修で収集された記録例の分析を通して、保健福祉サービスの介入を示す思考と行為の一連の過程を明らかにしたいと考えている。
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