研究概要 |
<佐世保助産院における出生体位に関するデータの分析> 本年度は、1962年から1988年の間に佐世保助産院で出生した健常新生児6,563人(男3,402人、女3,161人)の体重・身長・頭囲・胸囲の計測値を用いて日本における出生時体位の推移について検討した。 結果及び考察は以下の通りである。 1.結果 (1)母親の平均年齢は27.1歳であり、88%が主婦であった。 (2)60年代、70年代、80年代の3集団間で、主婦の割合および平均年齢について比較を行ったが、3集団間に差は認められなかった。 (3)対象の初産・経産の割合は、3集団とも第1子および第2子で全体の2/3を占めていた。しかし、初産婦の割合は60年代・70年代に比べて80年代で減少していた。 (4)体重・身長・頭囲・胸囲の男女別移動平均は、全てにおいて男児が女児を上回っていた。 (5)体重・身長は男女とも60年代から70年代にかけて明らかに増加していたが、70年代と80年代との間には差は認められなかった。 (6)頭囲・胸囲は男女とも60年代から70年代にかけて有意な増加が認められた。一方、70年代から80年代では有意に減少していた。 (7)頭囲・胸囲を60年代と80年代間で比較した結果、頭囲では差を認めなかったが、胸囲では差を認めた。 2.考察 (1)60年代から70年代にかけての出生時体位(体重・身長・頭囲・胸囲)の増加は、60年代に見られた社会経済状況の改善に伴う栄養摂取状況の改善が関与している可能性が示唆された。 (2)世界中の種々の地域における報告と同様に、出生時体位は、男児が女児を上回っていた。 3.結論 社会経済状況の改善といった環境要因の変化は胎児期の成長に影響を及ぼすことが示唆された。
|