本研究は、第2子以降の誕生に際して上の子どもを家族立ち会い出産に参加させた母親の体験と、同胆の誕生場面に参加するという体験をした子どもへの影響を明らかにすることを目的とした縦断的継続研究の一部である。今回、萌芽研究として補助を受けた研究期間内に、上の子どもを同胞誕生場面に参加させた群と、参加させなかった群の母親を対象として、妊娠末期から産後6カ月までの縦断的質問紙調査により、誕生場面に参加した上の子どもの同胞誕生前後の行動特徴を明らかにしたいと考えた。 本研究着手後1年目のH14年度に収集したデータについて、上の子どもを出産に参加させた経産婦のデータ数(61名分)に比較して、対照群である出産に参加させなかった経産婦のデータ数(21名分)が少ないという問題が生じた。従って、研究2年目となる15年度は、協力施設を4ヵ所に拡大することによってデータ数の偏りの是正を図った。 その結果、14年4月から2年間に収集したデータ数は、誕生場面に上の子どもを参加させた経産婦87名と、参加させなかった経産婦65名の合計152名分となり、両郡間のデータ数の差が減少した。16年度は、引き続きデータ数の偏りの是正に配慮して、当初の予定に従い同胞の誕生場面に上の子どもを参加させた経産婦100名と、対照群として、子どもを誕生場面に参加させなかった経産婦100名の合計200名のデータを収集し、分析を行うことを計画している。 現在、データ収集と平行してデータ内の不明確箇所を電話により本人に確認した後、SPSSへの入力を行っている。また、本調査研究は『上の子どもを家族立ち会い出産に参加させた母親の体験』に関する帰納的、記述的研究から得た知見を、演繹的に検証する縦断的継続研究である。従って、重要な関連研究として帰納的研究を縦断的に継続している。
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