研究課題
本研究は、第2子以降の誕生に際して、上の子ども(以下上子と記載する)を立ち会い出産に参加させた母親の体験及び同胞の誕生場面に参加するという体験をした上子への影響を明らかにすることを目的とした縦断的継続研究の一部である。今回は、上子を同胞誕生場面に参加させた母親と、参加させなかった母親の両群を対象として、妊娠末期から産後6カ月まで縦断的質問紙調査を行い、誕生場面に参加した上子の同胞誕生前後の行動に見られる特徴を明らかにすることを目的とした。H14年4月からH16年12月までに上子参加予定群108名、非参加予定群100名の合計208名への妊娠末期の調査を開始し、その後引き続き産後3日目、1ヵ月、6ヵ月と追跡調査を行っている。以下、現在回収できたデータについて分析結果の概要を報告する。χ^2検定、t検定、Wilcoxonの順位和検定、Kruskal-Wallisの順位和検定を用いて統計的解析を行った。1)対象者の特徴:年齢、学歴、就業形態、家族形態、子どもの人数・性別等に両群間の統計的有意差は認められなかった。過去の出産体験については、上子参加予定群に前回家族立ち会い出産を体験した者の割合が有意に多く、出産への満足感が有意に高かった。2)上子への準備:参加予定群は、同胞誕生予告の時期が有意に早く、また「妊婦健診への同伴」「出産の知識提供」等同胞誕生にむけての準備を行っているものが多く、10項日中7項目に有意な差を認めた。3)上子の行動特徴:妊娠初期の『同胞誕生予告への反応』には両群に有意な差は認められなかった。妊娠末期までの『今回妊娠中に出現した行動(22項目)』の有無では、「愛着行動のまね」「母親へのいたわり」等7項目に有意な差がみられ、同22項目の『行動頻度』(5段階リッカート式)調査では12項目に有意差が認められた。さらに、同胞誕生後の『行動頻度(23項目)』調査では、参加群と非参加群との間に統計学的に有意な差が認められる行動が、産後3日目に9項目、1ヵ月時に11項目、6ヵ月時に2項目存在した。今後は、産後6ヵ月の全てのデータを回収後、『行動頻度』等について妊娠末期から4回に亘る一連の経時的な変化に着目して、参加群と非参加群との間に違いが認められるかを解析したい。
すべて 2005
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23rd Quadrennial ICN Congress (CD-ROM)
ページ: Abstract number P.2.470