最終年度である平成16年度では、モデルの実験的介入を行い、その評価によりモデル案の構築を目指した。 1.モデル案の構造 1)構造の特色 考案したモデルは、種々の事業等<検討会活動とそこでの直接介入>が「仲間づくりへの支援」、「兄弟たちの交流の場」、「情報提供」、「情報交換の場づくり」、「介護や支援に関する学習の場づくり」、「事例のケア検討」、「調整や相談」、「問題事象への対応」という<役割を果たす>ことにより、そのプロセスにおいて、介護者や支援者の<前向きに努力しようとする力>を高め、それぞれの結びつきを強化し、手を携え、支え合う<関係の変化>をさせるというものである。そして、その成果として<壁を越えた効果的な支援連携や円滑なコミュニケーション>が得られる。 2)モデル案による他の成果 そのシステムはまた、支援を受ける子どもや親の立場から考えると、時間的経過と共に、家族自らが「子どもの生活場所」を自宅から保育園や学校、公共交通機関を利用した外出や外泊というように、地域から社会へと「場を拡大」させるその<取り組み>につながるものであった。 そのことは、障害があり、人工呼吸器から離脱できない子どもを、どうやって育てていけばよいのかというような特殊な子育ての模索から抜け出し、地域で普通に暮らしていこうと決意する、正にそれは、子どもと家族が一体となって<<自立(自律)するプロセス>>であると考えられた。 高位脊髄損傷患者を対象として行った海外との比較研究では、自立生活を目標としたシステムにおいては、地域生活の質や家族生活の満足度において顕著な差異を示すことが報告されており、そのような観点からも本システムは意義あるものと考えられた。
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