研究概要 |
1.文献の収集整理と文献リストの作成 「トランジスタの発明における特許と論文」において,本研究が追究する「研究情報の保護と公開」がどのように実施されたかを,深く広く考察するために,関連する文献を可能な限り多く収集した。それらはトランジスタの発明前の半導体物理学の研究論文から最近の科学技術政策の論文まで145編を含む。さらにトランジスタ発明や論文と特許に関連するWWWページを探索し,ブックマークとして分類し収録した。 2.主要文献(特許,論文)の読解と翻訳 トランジスタ発明の特許2件(特許番号2,524,033および2,524,034),論文3編(Physical Review Vol.74,pp230-233)を全文翻訳した。 3.文献が開示している研究および技術情報の調査と整理 収集した文献は一通り目を通し,要旨を作成した。これらを文献データベースRef for Windows2000に収録し,キーワードあるいは時系列で検索や引用を可能とした。 4.開示情報の考察 研究を進めるうちに当初想定した以上に,本テーマは研究活動における本質的な問題を包含するものであることが明らかとなった。情報の保護と公開に関する動機を研究者個人,研究者を雇用する組織,社会的要請の三つから考察することが必要であり,トランジスタ発明に置けるそれらの具体的状況を把握することに努めている。Ben研究所は世紀の大発明の情報の保護と公開に細心の注意を払ったように見える。一方発明者であるShockley, Bardeen, Brattainの3人には3様の言動があった。その後の数多くの文献がそのことを示している。 この間,青色LED特許裁判等の係争が進行した。この問題もまた本研究と深く関連しており,日米の発明に対する保護と公開の思想の比較考察も行った。
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