研究概要 |
脳波の研究領域の中に「ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)」という研究領域がある。これは、脳波の中に含まれる運動関連電位を抽出し、それをロボットにつなげ脳波でロボットを動かすという研究である。この研究は、主に体幹・四肢を動かすことのできなくなった脊椎損傷患者のために行われている。つまり、体が動かなくても脳が動いていればロボットを体の変わりに動かすことができるというものである。現在の所、脊椎損傷患者の脳波(運動関連電位)でアーム型ロボットを動かすことができるようになっており、コップなどを持つことができるところまで研究が進んでいる(Donchin et al.,1999)。 ところで、イメージトレーニングの熟練者が運動をイメージした場合、運動前野や体性感覚野などの運動と関連する大脳の領域が活動することが脳波、PET、fMRIの研究などから示されている(Decety et al.,1994; Porro et al,1996; Kotani & Aihara,1997)。すなわち、もしイメージによって生じた運動関連電位を脳波として捉えることができれば、コンピュータ画面上にシミュレートしたロボットにイメージした運動を再現させることが可能となる。 そこで本研究では、イメージによって生じた運動関連電位を脳波より抽出し、それをコンピュータ上にシミュレーションしたロボットに運動を再現させることを研究の目的とする。 本年度は特に独立成分分析を用いて、脳波の中から運動イメージと関連する成分を取り出すことを主眼としてシステムの開発に当たった。脳波はこれまで脳波よりより多くのデータを短時間で測定できるように高密度電極による脳波測定システムを展開した。また、C言語を用いた独立成分分析とコンピュータグラフィックを用いたシステムも同時に開発した。
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