研究概要 |
本研究は,これまで個別の学問分野で行われてきた周縁世界に関する研究を,人間と周縁の関係,人間社会における周縁の意義を軸に統合しようとするものである。特に,周縁(周辺)的な場所・地域に焦点を当て,本年は以下の4点について研究成果を得た。 1)周縁的な地域として,自然環境が脆弱で、社会の衰退現象がみられる山村に焦点を当て,それらの周縁化のメカニズムと中心地域との関係を,大分県大山町を事例に検討し,近年の地域づくりに都市との交流が重要なファクターになっていることを指摘した(担当:岡橋)。 2)周縁的な地域と現代人との関わり,現代人にとって周縁がもつ意義を,ツーリズムを通じて明らかにするために,ヨーロッパアルプスの概況を整理すると共に現地調査を実施した(担当:フンク)。 3)周縁化された自然の視点を重視するネイチャーライティングをとりあげ、それらから現代人にとって周縁世界のもつ意義をさぐることを目的として,ソロー晩年のエコロジー思想表明のテキスト、野生の果実の研究と翻訳を中心に、アメリカ作家とヨーロッパの関係も視野にいれて野生の思想の現代的意義を考察した(担当:伊藤)。 4)支配・被支配(中心・周縁)の関係に結びつく人種・民族のヒエラルキー形成の病巣を文学的表象の面から探究するために,アメリカ文学における南部と中西部という地域の代表的な作家、トニ・モリスンとウィリアム・フォークナーを対象とし、人種と地域の複合的な影響関係を探求した(担当:田中)。
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