研究概要 |
2年目に入り,現地調査や統計の整理を行うなど,周縁(周辺)的な場所・地域に焦点を当てた研究を進めた結果,以下の4点について成果を得た。 1)自然環境が脆弱で、社会の衰退現象がみられる日本の山村の近年の動向について,就業と市町村合併を中心に全国的なデータの整理により検討した。さらに、それらをふまえ21世紀の山村空間の課題を指摘した(担当:岡橋)。 2)周縁的な地域と現代人との関わり,現代人にとって周縁がもつ意義を,ツーリズムを通じて明らかにするために,屋久島や富山県山間部について現地調査を実施した(担当:フンク)。 3)ネイチャーライティングから現代人にとって周縁世界のもつ意義をさぐることを目的として,ソローをとりあげた。沼地の開発を阻止しようとして展開した晩年の著作を研究し、アメリカの周辺化された地域、南西部の砂漠を舞台とする女性作家の作品の、土地とジェンダーの関係を考察した。(担当:伊藤)。 4)支配・被支配(中心・周縁)の関係に結びつく人種・民族のヒエラルキー形成の病巣を文学的表象の面から探究するために,ワスプ中心の東部の文化圏に見られる文明史観と、農本主義的な南部のそれとの違いを、フォークナーやメルヴィルの文学における時間の表象の異同の中に究明した。(担当:田中)。
|