研究概要 |
本研究では,氷河関連堆積物と地すべり・崩壊・土石流による堆積物の類似点・相違点について,堆積物の微細構造やESR/TL/OSL測定を用いた堆積物中石英試料の結晶構造特性の把握、あるいはその他の実験的手法を取り入れながら体系的に比較検討し,明らかにすることを目的としている.このような目的に即して,本年度は以下のような調査・研究のための取組みを行った. 1)TL/OSL測定装置に放射線源(β線源)を装着し、照射線量率の校正を行い、標準試料とのクロスチェックなどを進め、基礎的な測定システムの整備を行った。 2)ESR測定装置のデータ取得プログラムを作成し、データのデジタル化とくり返し測定システムを導入することによって、微弱なESR信号の検出を可能とするよう、改善した。 3)上記1)、2)を踏まえながら,各種堆積物のESR/OSL/TL信号特性の把握のための測定を進めた。その結果、地すべり・崩壊・土石流関連堆積物や風化花崗岩由来のマサなどから抽出した天然の石英試料とくらべ、人口合成された石英試料は試料の信号感度が極めて低く、磨耗実験を経た後でもそれが依然として低いという、暫定的な結果を得た。氷河関連堆積物とその他の試料との類似性、異質性については、また明確な整理ができていないが、上記のような実験を加味しながら、次年度は、天然試料との比較を更にすすめる予定である。 4)研究協力者から入手したネパールヒマラヤ地域の氷河関連堆積物のinsituサンプルについて採取試料の樹脂固定を行い、薄片を作成した.現在,その顕微鏡観察を進めており、3)との関連も視野に入れながら、検討中である。
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