平成14年度の成果にもとづいて、以下の諸点から調査を行い、分析・考察を行い報告書としてまとめた。 (1)日本家政学会での1980年代からの「環境」を切り口とした研究の取り組みの実態について投稿論文、発表論文等の動向を調査した。その結果、1992年のブラジルサミット以降、「環境」関連の論文は増えているが、学会としての共通理解に至っていない。 (2)日本の家庭科教育の動向を探るために、平成14年度からの学習指導要領の内容分析と、教大協家庭科部門での家政教育に係わるカリキュラムの提案を今析した。 (3)イギリスで収集してきた文献を解読し、持続可能性のための「生活の質」の指標等を分析・考察した。 (4)ドイツの実態を知るために、環境ジャーナリストでドイツ在住の今泉みね子氏が訪日した機会に面接調査を行い、ドイツ市民の環境に対する意識の高さの背景や状況を分析した。 (5)アメリカの家政学会のスコッツデイルをまとめた「家政学 未来への挑戦」について、福田はぎの氏へ面接調査し、家政学における専門性について分析・考察した。 (6)日本において「持続可能な地域づくり」に取り組んでいる自治体を訪問調査し、生活の場である地域、住民、行政、学校教育現場が協働できる条件等を分析・考察した。<調査地:兵庫県西宮市、山形県長井市、岩手県葛巻町、新潟県聖籠町、鹿児島県屋久島など> (7)以上の調査結果を、生活と廃棄物、環境共生型住まい・まちづくり、生活とエネルギー、情報化とライフスタイルなどの視座から分析し、「持続町能なくらし」構築のために生活者の主体性育成にむけた家政教育のカリキュラムの枠組みを提案し、報告書としてまとめた。
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