研究課題/領域番号 |
14658028
|
研究機関 | 平安女学院大学 |
研究代表者 |
酒井 洋 平安女学院大学, 生活環境学部, 助教授 (90310648)
|
研究分担者 |
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活学科, 教授 (20123218)
呑海 信雄 県立新潟女子短期大学, 生活学科, 教授 (90237181)
橋本 雅好 平安女学院大学, 生活環境学部, 講師 (00351239)
|
キーワード | 超臨界二酸化炭素 / 洗浄 / 衣服 / 超臨界 / クリーニング / 被服 / 赤外分光法 / 油汚れ |
研究概要 |
衣服の洗浄の方法としてはドライクリーニングと水系洗濯があるが、ドライクリーニングに使われる溶剤は人体に対する毒性、あるいは爆発・引火の危険性があり、一方水系洗濯で使用される洗剤は水環境へ悪影響を与えるなど、それぞれ問題がある。そこで本研究において、環境負荷が小さいと考えられる超臨界二酸化炭素を用いた洗浄についての検討を行った。今年度は温度と圧力を変化させた二酸化炭素で人工汚染布を処理し、汚れの落ち具合の評価を行った。 5cm×5cmの綿布で、カーボンブラック、流動パラフィン、牛脂硬化油を成分とする人工汚染布を作製し試料とした。実験には超臨界抽出装置を使用し、温度が35℃と70℃、圧力が5MPa、10MPaと30MPaの条件で30分間処理を行った。その後、分光測色計で可視領域の分光反射率の測定、フーリエ変換赤外分光光度計とATRアクセサリーで赤外スペクトルの測定を行い、洗浄効果の評価を行った。その結果、以下のような知見を得ることができた。 赤外スペクトルに現れるメチレン伸縮振動バンドの大きさで油分の除去率を評価したところ、超臨界に達していない圧力5MPaで処理を行った場合、取れた油分はごくわずかだった。圧力を上げ、超臨界の状態である10MPa、30MPaになると、圧力が高くなるにつれて除去された油の量も多くなった。また、温度35℃の方が70℃よりも除去された量は多くなった。一方、可視領域の反射率は、赤外スペクトルの結果ほど顕著な差は現れなかったものの、圧力が高くなるほど上昇し、汚れが取れていく傾向を示した。超臨界二酸化炭素は極性の低い油汚れを主に溶かし、それ以外の汚れは落としにくいことが明らかとなった。超臨界二酸化炭素による衣服の洗浄という新しい分野の可能性を示すことができたと考えられる。
|