植物性食素材に含まれるラジカル捕捉活性成分についてはかなり明らかにされつつあるが、動物性食素材にはどのようなラジカル捕捉活性成分がどの程度含まれるか、また、動物種や飼育環境等によりどのような差があるか、あるいは調理加工によりどのように変化するか、などについては未解明の点が多い。本研究ではこのDPPH-HPLC法を駆使して、動物性食素材に含まれるラジカル捕捉活性成分の有効性を追跡しながら、その本体をフォトダイオードアレイ検出器(PDA)を接続した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、個々の有効成分について明らかにすることを目的に検討を行っている。 本年度は各種の動物性食素材(鶏肉・魚類など)について、ラジカル捕捉活性をDPPH-HPLC法により測定した。 その結果、鶏肉について、ハーブを給餌したハーブ鶏肉と通常の鶏肉を試料として検討したところ、各部位の肉および内臓ともにラジカル捕捉活性を示すこと、特に肝臓が高いラジカル捕捉活性を有することを明らかにした。また、ラジカル捕捉活性に寄与する成分として最も主要なものはポリフェノール化合物であること、そのほか、アスコルビン酸、グルタチオンが存在することを明らかにした。鶏肉にも湿重量あたりで比較すると野菜に匹敵するラジカル捕捉活性が存在することから、野菜のみならず、鶏肉を利用することでその上質のタンパク質や鉄分のみならず、ラジカル捕捉活性成分をも摂取でき、健康増進、生活習慣病予防につながると考えられる。
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