植物性食素材に含まれるラジカル捕捉活性成分についてはかなり明らかにされつつあるが、動物性食素材にはどのようなラジカル捕捉活性成分がどの程度含まれるか、また、動物種や飼育環境等によりどのような差があるか、あるいは調理加工によりどのように変化するか、などについては未解明の点が多い。本研究ではDPPHラジカル捕捉活性測定法および活性酸素ラジカル捕捉活性測定法を駆使して、動物性食素材に含まれるラジカル捕捉活性成分の有効性を追跡しながら、個々の有効成分についても明らかにすることを目的に検討を行った。 本年度は、魚類のラジカル捕捉活性の品種および部位による違いを、DPPHラジカル捕捉活性測定法および活性酸素ラジカル捕捉活性測定法を用いて評価した。アジ、イワシ、タイ、カレイの4種について測定した結果、いずれの測定法においても野菜類に匹敵する高いラジカル捕捉活性が認められた。特に、魚の肝臓に高い活性がみられた。また、血合い肉を含む魚に高い活性がみられた。ラジカル捕捉活性に寄与する成分として、抗酸化ビタミンであるアスコルビン酸およびトコフェロール含量を測定したところ、いずれの成分も肝臓以外ではその含量はわずかであった。魚にも湿重量あたりで比較すると野菜に匹敵するラジカル捕捉活性が存在することから、野菜のみならず、魚を利用することでその上質のタンパク質のみならず、ラジカル捕捉活性成分をも摂取でき、健康増進、生活習慣病予防につながると考えられる。
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