研究概要 |
1.非侵襲な手法による酸素運搬能の評価 【目的】摂取食品が運動時の心拍(HR)に及ぼす影響を評価するために、HRの変動要因である酸素運搬能、酸素利用能等のうち、酸素運搬能の指標である心拍出量(CO)増加量(一回拍出量(SV)とH_Rで規定される)に注目し、心臓ポンプ機能評価システム確立を目的として、被験者、運動負荷、食品(トウガラシ)の量の違いによる心臓ポンプ機能の応答について検討した。 【結果】被験者の運動能力の違い:鍛錬者のCOはSVとHRの両者により増加、非鍛錬者ではSVの増加はなく、HRによる増加が主であった。運動負荷:相対的に負荷を揃えた75%HRmaxのCO増加は鍛錬者、非鍛錬者ともにSV増加は限界に達し、HRに依存した。摂取トウガラシ量の影響:トウガラシ嗜好性の高いものはコントロールに比べ、有意にSVを増加、HRを減少させ、低いものは有意にHRを増加、SVを減少させた。 2.非侵襲な骨密度測定による寝たきり度の評価 【結果】介護高齢者のADLと骨密度間に相関関係が見られ(r=0.53、p<0.001)ADLが高いほど骨密度が高かった。要介護度が高いほど骨密度が低く(r=-0.34、p<0.002)、食事形態が軟食になるほど骨密度は低くなった(r=-0.317、p<0.005)。歩行状態(r=,0531、p<0.001)と障害老人日常生活自立度(r=-0.526、p<0.001)でも自立から寝たきりへと状態が進むにつれて骨密度が低下した。痴呆性老人日常生活自立度、骨折経験、骨折回数、骨折時期の違いによる骨密度には有意な相関はなかった。骨密度は現時点での身体活動度をよく反映し、障害老人日常生活自立度や歩行状態についても相関があったことから、骨密度が身体活動低下度の指標、寝たきりの予測指標となる可能性や介護現場や高齢者の日常において骨折の予防につながる可能性が示唆された。
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