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周知のように日本の科学研究の最大の問題点として指摘されるのが、独創性の不足である。これはノーベル賞受賞者数を他の先進国と比べてみると一目瞭然である。その原因が何処にあるのか。これについてはいろいろな観点から述べられる。しかし、明治期の科学教育の導入という観点からはほとんど論じられてこなかった。我が国は、明治10年代から、特にドイツの科学教育を導入した。当時のドイツは、独創性で群を抜く、いわゆる「ドイツ科学」を生み出していた。それにもかかわらず、なぜ我が国の科学研究が「ドイツ科学」のように独創性を発揮することができなかったのか。この原因を明治期のドイツ科学教育の導入の様態を詳細に分析することによって解明する必要があると思われる。そこで、3年間を通して明治10年代以降に始まったドイツ科学教育の導入の実態およびその特質と問題点を解明することを目的とする。特に、14年度は、明治10年代以降、ドイツのいかなる科学教育思想・システム(教科書、教材、教授法、カリキュラム等々)が導入され、その思想・システムの特質はどのようなものであったかを解明することを主目的とした。
(1)ドイツの科学教育改革の動向と中等理科教育の特徴を文献資料から分析した。
(2)ドイツにおける科学教育の目的論を代表的な科学教育論者の言説から分析した。
(3)内容領域が拡大された日本の総合的な学習と理科との関連性の議論に見られる日本の理科の特質の一端をドイツとの比較を通して明らかにした。
(4)ドイツ科学教育論に関する資料を収集し、データベース化した。
(5)科学教育の成果をはかる評価の観点から日本の科学教育に潜在する科学教育の理念の一端を解明した。
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