研究課題/領域番号 |
14658040
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
柴山 知也 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40143391)
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研究分担者 |
佐々木 淳 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50292884)
岡安 章夫 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (20213994)
柴山 真琴 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (40350566)
島谷 学 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40343173)
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キーワード | 技術者倫理 / 事例教育 / 教育方法 |
研究概要 |
社会構造に埋め込まれたネットワーク構成者(建設技術者)の行為を分析した。「取り巻く周囲に対して払う配慮によって構成するネットワーク」、そして「相談ネットワーク」に着目した。取り巻く周囲に対して払う配慮は、相対的に立場が弱い集団が強い集団に対して払うものであり、これによりネットワークの中心を特定することが可能である。強固な社会構造に埋め込まれた建設技術者に対しても同様の拘束回避機能が発揮されるのであれば、取り巻くネットワークから拘束された結果としての逸脱行為選択を分析する際に、重要なファクターとなり得る。 具体的には、質問紙調査により、ネットワーク特性と「倫理的判断が必要な場面に遭遇した際に選択する行動」との共変関係を調べた。後者は技術者として直面する可能性がある多様な場面を想定し、その際に自分がとるであろう行動を選択するものである。各設問の狙いは、例えば(1)自己研鑚を続けるかどうか。(2)技術評価の視点が柔軟かどうか。(3)あらゆる人々を公平に扱うかどうか。(4)贈答品に対する潔癖性はどうか。(5)持続可能な開発や事業の社会性への配慮があるか、などである。 分析の結果、建設技術者の行動は、所属する集団が建設技術者社会において占める位置特性に強い影響を受け、他から配慮を受ける(立場が強い)側の集団に所属する建設技術者は高い倫理性を発揮することが可能であることが分かった。それに対し、他に強く配慮する(立場が弱い)側の集団に所属する建設技術者は、取り巻く周囲の職業集団から強い拘束を受け、高い倫理性を持っていても発揮することができない可能性を持つことも明らかとなった。建設技術者社会において、相談ネットワークの多様性は拘束回避機能を発揮していないことも明らかとなった。以上のことより、業務上の問題を抱えた際の建設技術者の行動選択においては、個人の相談ネットワークの多様性よりも、所属集団の技術者社会構造における位置特性が主要な説明要因となるという結論を得た。
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