本研究は、理科授業を行う際に教師が必要としている指導技術について、短く編集したビデオ映像とその授業の指導案を検索し視聴できるCD-ROMの開発を行い、教師の理科授業を支援していくことを目的としている。本年度は、教師が必要としている指導技術を明らかにするため、小学校教師および教員養成の学生を対象に、理科授業において指導を難しく感じる場面について、アンケート調査により明らかにした。その結果、教師、学生ともに、子どもに対応した指導の変更、考えを促す発問、発言や意見交換の活性化、実験方法の考案、結果が予想と違うときの理由の考案などについて、指導を難しいと感じていた。 これらの場面に留意しながら、理科の学習場面におけるベテランの教師の指導技術について、VTRに収録し抽出を行った。本年度は、小学校理科の9つの授業を収録し、その授業についての指導案を入手した。また、授業によっては授業の整理会が行われ、そこで適切であると評価された教師の指導を、優れた指導技術を抽出する際の参考とした。さらに、過去2年において、指導案を入手している授業について、参考になる授業を7つあげることができた。これらの授業について、優れていると考えられる指導技術の場面を抽出し、コンピュータにより編集した。各場面については、テロップなどによる解説を付け加えた。また、子どもが特定できるような場面については画像処理を行い、プライバシーに配慮した。映像と指導案を学習場面や学年、学習内容の領域で検索しやすいように、ホームページ形式の枠組みを作成した。
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