研究概要 |
「現在の科学技術教育普及・理解増進活動は,もともと,科学技術に興味・関心を持っている人々(たぶん、「科学技術オタク」と呼ぶのがいいだろう)には受け入れられて好評だが,科学技術に全く無関心である人々(暫定的に,「科学技術無関心族」と呼ぶ)には,何の意味も効果もない活動になっている」という仮説にたって,「科学技術無関心族」を科学技術情報に振り向かせるための具体的な方策について考察し,いくつかの具体的提案を示すことにある. 本年度は,初年度ということで,まず,科学技術リテラシーに関連する先行研究をとりわけ「一般市民のリテラシー度の類型化」という観点に着目して収集・分析した.この中で,従来は,個人レベルで科学技術リテラシーを考えるのが暗黙の前提であったが,高度科学技術社会においてはこの前提自体が成り立たないのではないかという発想が生まれてきた.現在,その対案として「集団レベルでの科学技術リテラシー」という新しい枠組みの有効性について検討を行っている.この点については,日本科学技術社会論学会の年次大会で研究発表を行った. さらに,子供たちの科学技術的活動に関するコミット度や興味関心,将来の職業志向性等に関する国際比較調査が世界30数カ国の参加で実施されつつあることを知り,この調査プロジェクトの結果が本研究に大きな与えると考え,調査票を入手して日本のデータを収集する作業を開始した.その結果は来年度のはじめに明らかになるので,その結果を踏まえて,次の研究プロセスに進めていく予定である.
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