研究概要 |
1)評価に関する教師の実践知のための基礎的研究:中学校数学を題材として,米国ニューヨーク州で開発されたルーブリックが,教師の評価活動に与える影響の調査を行った。5名の中学校教師に対して調査を行ったところ,(1)ルーブリックを参照しながら評価する場合,教師にとっては複雑な評価活動となること,(2)しかし,ルーブリックがない場合と比較すると,評価プロセスが減点志向から加点志向へと変化し,実際の評価結果の得点も向上すること,(3)また,得点の分布を見ると,2点,3点などの中間得点が加点傾向にあり,ルーブリックも中間得点の基準が十分に記述されていること,が示された。 2)SCSを用いた遠隔共同ルーブリック開発:平成14年10月から平成15年2月にかけ,鳴門教育大学と上越教育大学をSCSで結び,双方の現職教員が生徒作品を共有しつつ,相互にやりとりをしながらルーブリックを開発する講義を実施した(鳴門教育大学:教官3名,現職教員大学院生9名,上越教育大学:教官1名,現職教員大学院生1名)。講義は15回実施し,うち10回程度を共同で実施した。ルーブリックを開発する過程において評価結果を集約することができずに行き詰まる局面が多く観察されるとともに,評価基準の設定は,かなりの程度のばらつきが見られることが示された。 3)教育実践研究方法論:教育研究と教育実践が乖離している現状を克服すべく,鳴門市内でコンピュータの教育利用について継続している「鳴門市教育用コンピュータ活用推進協議会」での学校-教育委員会-大学の連携(パートナーシップ)の構築過程をモデル化し,関係構築の方法論を総括した。
|