1.視覚障害者向け3次元音響ゲームの改善 平成14年度においては、3次元音響バーチャルリアリティを実現するための聴覚ディスプレイの開発を行い、仮想音響空間内で視覚障害者、ならびに晴眼者がどのように音像や空間を認識しているのかの基本的な実験を行った。また、聴覚ディスプレイを応用した視覚障害者のためのもぐらたたき型ゲーム「ホイピッピ」を開発し、宮城県立盲学校の教員ならびに生徒たちの協力を得て試行実験を行った。その結果、本ゲームシステムが今までにはない、視覚障害者のためのエンターテイメントになりえることが示唆された。また、同時にエンターテイメント性の向上を図るために必要な要望もいくつか出された。 そこで、平成15年度は、まずそれらの要望をゲームコンテンツに組み入れるための改変作業を行った。具体的には、音源の移動速度を可変にすること、キャラクターが出現する回数を可変にすること、効果音を工夫し、よりゲームらしくすること、などである。 2.海外の先行研究の調査 次に、3次元音響バーチャルリアリテイ、もしくは音声情報を用いた視覚障害者対象のCAI(Computer Assisted Instruction)システムに関する先行研究を調査し、教育・訓練の目的や方法、ならびに効果の立証方法などについて研究した。その結果、海外に若干の先行研究が存在し、視覚障害者の空間認識能の訓練やメンタルマップ(イメージ上の地図)を作り上げるために用いられ、効果を上げていることが分かった。 3.局所的空間認識能の訓練 本研究において開発したゲームコンテンツ「ホイピッピ」は、音源の提示位置に手を伸ばす動作をすることから、局所的空間認識能の訓練に使用できるのではないかと考え、訓練実験を行った。その結果、音源提示位置と音像定位の訓練前後の誤差が場所によっては有意に少なくなり訓練効果が確認された。 4.ネットワーク化 2台の聴覚ディスプレイをネットワークで接続し、遠隔地において同一のバーチャルリアリティを構築できるVRシステムの開発を行ったが、まだ開発作業中である。
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