研究概要 |
研究期間3年の第2年度にあたる今年度は、以下のことに重点を置いて研究を遂行した。 (1)科学的推論能力テストを題材にRule Space Methodを適用 思考力を評価することを目的とした試験として実施されている科学的推論能力テスト(Science Reasoning Test, SR-Test)を題材に、Attributeの抽出を試みた。18個のItemから当初約40個のAttributeが得られたが、類似のものや影響力の小さいものを除外して最終的に12個のAttributeを得た。 (2)実データへの適用 大学1年生約300名を調査対象にSR-Testを実施して得られたデータに対して、前項のAttributeを用いて解析を行った。その結果、18個のItemを解答するために用いられる12個のAttributeの内、3個のキーとなるものと2個の複次的なものが存在することが導かれ、学生の項目反応パターンの特性とも一致した。 (3)総合基礎試験への適用 現在、大学入試センターで研究が行われている「総合基礎試験」について、RSMを適用するべくAttributeの探索を続けているところであり、具体的な研究成果は翌年に報告できる見込みである。 これら一連の研究活動においては、RSMの提唱者であるProf. K. Tatsuoka (Columbia大学)と意見交換を行ない、いくつかの貴重な助言を受けた。また、研究成果の一端はNCME (National Council on Measurement in Education, 4月, Chicago, USA)や国立大学入学者選抜研究連絡協議会(6月,立川)、日本行動計量学会(9月,名古屋)で報告し、同様の研究テーマを取り扱っている研究者と意見交換を行った。 今後は引き続きAttributeの探索と精錬を続け、RSMの有用性とAttributeの探索法について研究を推進すると共に、これらの知見をまとめて適当な研究会や学会で報告し、また論文としてまとめる予定である。
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