研究概要 |
Williams Syndromeは、1961年に発見された第7番目の染色体の遺伝子が欠損している疾患で、人口20,000人に一人の発症率で、医学的・発達的な問題を抱えて成長する。形式的な思考に問題を抱えているものの、「カクテルパーティマナー」と呼ばれる社交的な性格と、高い音楽能力を持つことから、米国ボストン近郊では芸術キャンプが開催されている。 日本における患児(推定数千人)のうち、診断を受け、継続的な教育・療育を施されている患児は数百人といわれている。国内外では、WSの音楽的な認知能力に関する研究は進められているが、個々の教育や生活に焦点を当てた実践的な研究は未開拓である。 研究者(根津)は、平成14年4月のプレ・キャンプで7名、8月の本キャンプで8名、のべ15名に対して、「芸術プログラム」を遂行した。その結果、先行研究では報告されていない「表現の病理と特異性」「性差」が明らかになった。これらは、日本音楽教育学会第33回大会(金城学院大学)にて「<Williams Syndrome>と音楽的発達研究」と題して、その音楽能力の独自性、およびWSの研究画が音楽的発達研究に与える影響について報告した。 また、米国にて開催された「Williams Syndrome Music & Arts Camp at Belvoir Terrace」を視察し、日米のプログラムを比較した。その結果、カリフォルニア大学のDr, Lenhoffらによる米国のキャンプは、サポート団体による「地域活動」「音楽教育」であるが、当該プログラムは、「心理臨床的地域援助活動を含んだ音楽教育」という特徴を持っていることが明らかになった。
|