本研究は、初級日本語の学習修了者が習得した基本文型、基本的な語彙、文法的知識、基本的な日本語運用能力を全面的に活用し、日本語文表現に用いられている語彙のネットワークを利用して、彼らの知的レベルに見合った言語表現活動を可能にする新たな日本語教育指導法の開発を目指すものである。初級の表現文型と基礎語彙のネットワークとを活用して、初級日本語の学習修了者が知的な言語表現活動をするための「基本表現モデル」の創出に向けて、いわゆる文化人によって書かれた知的な言語表現である新聞記事を分析資料として、多様なトピックの文表現における初級の表現文型と基礎語彙の使用と相関について調査研究するものである。 平成14年度の研究実施計画のテーマは、分析資料のデータベース化であり、下記の実施計画によって行った。 これまでにコピーをして、収集した読売新聞のコラム記事「論点」と「メディア時評」(平成10年〜12年度分)があるので、これらを分析資料とするために設備備品費で購入したパソコン・スキャナを使用して、データベース化に向けて、記事をスキャニングし、テキストファイル化する作業を行った。 また、資料のデータベース化を進める一方で、文献調査をするとともに、国内外の研究者との情報交換等によって本研究計画についての改善を図りながら、研究目的に最も適したデータベース化の方法と分析方法等について検討を行ってきた。 本研究の目的を遂行するためには、特に来年度以降の調査研究が重要であるが、日本語語彙のネットワークを利用した新たな日本語語彙教育について展望が開けるような成果が得られるのではないかと考えられる。
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