研究概要 |
本年度は下記のように資料の分析と「基本表現モデル」創出に向けた調査研究を中心に行った。 (1)ファイル化された文表現を分析し、どのような初級の表現文型が用いられているかについて調査研究する。 (2)頻用される初級の表現文型を用いた「基本表現モデル」の枠組みについて考察し、「基本表現モデル」の文型を確定する。 (3)初級語彙1,500語の動詞と形容詞と形容動詞を中心に、基礎語彙のネットワークについて考察し、基礎語彙のネットワーク(試案)を作成し、その試案に基づき、分析資料の文表現における基礎語彙の使用頻度と相関について調査研究し,基礎語彙のネットワーク(試案)に修正を加え、基礎語彙のネットワークを確定する。 (4)(2)の「基本表現モデル」の枠組みとなる文型と(3)の基礎語彙のネットワークとの相関について考察し、「基本表現モデル」試案を作成する。 (5)国内外の研究者との意見交換等を通じて研究計画・方法に改善を加え、より精度の高い調査研究活動の継続を可能にしていく。また、中間的な研究成果の発表をおこない、本研究に対する客観的な評価を確認する。 所属学会で研究発表し、語彙のネットワークに着目した本研究は興味深いという他の研究者からの評価はある。しかし、本年度の調査研究を振り返ると、当初考えていた「基本表現モデル」の創出という課題よりも、先ずもって基礎語彙のネットワークによって形成される表現活動に有用な「表現語彙フレーズ」の確定に重点を置いた方が現実的に有効であるということが判明した。今後とも、この点を中心に調査研究を進め、新たな日本語語彙教育に効果的な指導法開発に向けて取り組んでいく。
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