タイ人日本語教師64名(以下TT)とタイ在住の日本人日本語教師60名(以下JT)の語学教育や外国語の習得に関する意見(=以下BELIEFS)をタイ人学習者324名(以下TS)のそれとを比較・分析した結果、グループとしてみた場合、JTよりTTのほうがTSに近い考え方をしているという結果を得た。また、タイで教えるJTと日本で教える日本人日本語教師135名(以下JJ)のBELIEFSの比較・分析したところ、総体的に言ってJTの回答分布のあり方はJJとTTの中間をなすものであるという結果を得た。これらのことから同じ日本人であっても「国内」「国外」のように教える場所・環境が異なると語学教育や言語習得に関する意見のあり方も異なってくるところがあり、それらはより現地化していく、つまり現地で教える日本語非母語話者教師の考え方に近づいていく傾向があるということが認められた。 香港では日本語教育に携わる日本人84人と香港人77人から得られたデータを基に、日本語並びに外国語一般の学習や習得及びその教育方法に関し、両者がどのような考え方を持って臨んでいるかについて比較分析した。その結果、a)外国語学習に対する自信・態度、b)語学クラスにおける教師の役割と責任、c)外国語(含日本語)の教授法と練習のさせ方、及びd)外国語学習における文化的要素の取り扱いの4点において、日本人グループと香港人グループの間で意見のあり方に違いが見られた。また、中国国内での同様の調査で得られたデータと比較したところ、香港人教師の意見のあり方は、日本人教師のそれよりも中国人(国内)教師のそれにより近いものであることが明らかとなった。
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