研究概要 |
GISデータの統計解析という目的に沿って,平成14年度には統計解析の対象とするデータとして,後述の2つを選択した.(1)大気中浮遊物質の構成要素を推定するための化学物質群(2)社会的意義測定のための潜在分析対象データ:FSP(frequent shopper program)(1)は,自然環境に関する測定データの確率モデルを探ることが目的であり,社会科学分野で分析手段として用いられている「共分散構造分析」を自然科学分野のデータに適用し,その効果を探索した.(2)は,人の行動を計量したデータを用いて「潜在構造分析」手法を適用した.いずれも,自然界及び人間社会におけるデータに確率モデルをあてはめ,モデル探索を進めることでそのモデルのもたらす社会的な価値という視点での意義を模索したものである.また,鎌倉の方では,商業店舗の空間分布に関する研究を進め,GIS用に開発された電子地図のデータを用いて商業店舗の立地形態について二次元での解析を試みた. 人間は地球上に住み空間の中を生きているわけだから,空間に存在するあらゆるデータの位置情報を収集解析することは実用上有用な結果をもたらすはずである.例えば,SARSの解明ならば,感染経路,空気の状態,患者の生活軌跡,行動範囲など関係するデータを収集し,また直接には関係なさそうな二次的データであっても集積して解析することで原因究明の何らかの糸口を探ることができると考えられよう.これらの研究推進を踏まえ,GISデータ及びリモートセンシングデータ等の空間解析の可能性や確率モデル提唱の可能性について,またそれらデータの発信についても社会的な意義という視点を落とさずに次年度へつないでいく.
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