研究課題/領域番号 |
14658085
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原口 誠 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40128450)
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研究分担者 |
大久保 好章 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40271639)
田中 譲 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60002309)
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キーワード | モーションメタファー / 動作類推 / 動作プランニング / 同化動作生成 |
研究概要 |
昨年度の研究成果、すなわち、同一人体モデルに基づく動作類推システムの試作版を基礎にして、今年度は下記の2項目に関する研究を行った。 (1)動作による感情表現力 本研究の最終目標である「アニメーションの表現力向上」の一つには動作の感情表現がある。感情表現を動作に持たせるために、昨年度の動作同化・類推手法を、物理的特徴量が異なる人型モデルに対する動作適用・再利用方式に拡張した。例えば、「悲しそうに歩く」動作の実現のために、「悲しさ」を体節強度等の物理的特徴量に翻訳し、標準的な人型モデルの動作の補正を行うことにより実現する方式を策定し、実装実験した。その原理は、標準体型の動作を再利用して実現できる目標人型モデルの可能な動作のうち、動力学的な立場から準最適なものに補正・修正することにある。この方式の結果、標準的な歩行動作から「力なく体をかばうように歩く」動作などを生成できることを検証した。実行時間はPCでも20秒程度である。 (2)モーションデータの類似性検索: モーションデータベース中の動作データと目標動作主体の動作系列とのマッチング手法はいくつかの方法が提案されているが、目標動作主体が取りえる様々な経由状態まで考慮したマッチング法はこれまでなかった。本研究においては、単に動作系列の類似性を求めるのではなく、ユーザが指定した初期・最終状態の自然な動作を実現できるとの制約のもとで、データベース中の動作データの再利用度をランキングできるシステムを実装し、人型モデルに対してその有効性を検証した。この方式の特徴は、データベース中の動作を再利用するために必要となる「予備動作」を自動で生成する点にある。通常のマッチングではコスト高であっても、比較的に小さなコストを持つ予備動作により滑らかに接続できる場合、本方式によりランクはむしろ高くなるという、本研究特有の性質を持ち、モーションキャプチャデータそれ自体が有する動力学的自然さと目標動作を無理なく合成できる。実験では数百の動作データを持つデータベースに対して行い、その有効性を検証した。
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