研究概要 |
ウェアラブルコンピュータの出現により人はコンピュータを常時身に付けておくことができるようになり,その結果constancy(恒常性):常に利用可能であること,augmentation(増幅性):作業を増強できること,mediation(介在性):ユーザに情報をあたえうる役割,を増強することができる.更にウェアラブルコンピュータがデータベースを搭載することにより様々なデータを身体化することが可能となるので,これまで考えられなかった様々な新しいデータベース応用が出現するはずである.本研究ではウェアラブルデータベースとその可能性を次の二つの観点から研究した: (1)ユーザに優しい時間依存ウェアフブルナビゲーションシステムの開発 (2)位置・姿勢・地図・人文地理データを用いた映像データの索引付けと検索の研究(1)では,ウェアラブルコンピュータ,GPS,コンパス,屋外地図データベース,屋内地図データベース,を身に付けたユーザが,更にユーザプロファイルデータベースを身に付けた状態で,時間と空間的位置に依存して,どこまで的確にユーザが期待する問合せ結果をシステムが提供できるかを,データをリレーショナルデータベースに格納し,ユーザが東京駅に降りたって最寄の銀行からお金を引き出すまでを想定して,ユーザに優しくナビゲートするシステムを試作して,ウェアラブルデータベースの可能性を検証した. (2)では,ユーザがウェアラブルコンピュータに3次元地図データを格納して,ビデオカメラを持って屋外でビデオ撮影する状況を設定し,ビデオカメラにはGPSとジャイロセンサを付属させてそのデータをウェアラブルコンピュータに送り,ビデオに写しこまれている地理オブジェクトを実時間で計算してビデオコンテンツに自動的に索引付けをするシステムを提案してその機能の一部を実装し,ウェアラブルデータベースの可能性を検証した. いずれの結果も,本研究で構想するウェアラブルデータベースの姿とその応用を通した可能性を肯定的に検証する結果となった. 今後の課題としては,(1)に関してはオンラインリアルタイムな時空間問合せ言語の体系化を今後推し進めることと,(2)に関しては空間オブジェクト抽出機能のフル実装,システムの有効性の検証,索引付けビデオコンテンツの効率の良い格納法等が挙げられる.
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