研究概要 |
入力依存の専用回路を用いた高速問題解決の一般的手法を確立するために,本研究では次の3つを行った. (1)個別問題に対する入力依存の専用回路の設計と評価 (2)個別問題に対する前処理時間の短縮 (3)入力依存専用回路のメタプログラミングツールの開発 本年度は上記の(1)の項目に焦点を当てて研究を行った.具体的には,実際にFPGAを用いて文字列解析,画像検索,組み合わせ最適化問題に対するアルゴリズムを開発した.文字列解析では,文字列の性質を規定する文法規則Gと文字列xが与えられたときに,文字列xが文法規則Gに適合するかを判定する問題である.判定アルゴリズムは,文字列xを前後に走査しながら,文法のどの部分と適合しているかの判定を繰り返す.よって,文法規則Gに特化した判定回路をFPGA上に作成することにより高速化が可能になる.実際に回路を設計し,計算時間を純粋のソフトウェアでの実行と比較したところ,最高3000倍の高速化を実現できていることが判明した. 画像検索に関しても回路の実装と実験を行った.具体的には,質問画像Pに対して画像Piが与えられたとき,PとPiの類似度を求める専用回路をFPGA上に構成し,純粋のソフトウェアでの実行と比較したところ,この場合には最高300倍の高速化を実現できていることが判明した. 上記の実験結果は当初の予想を超える成果であり,福井市で開催されたメッセにおいても多数の会杜が本技術に関心を示した.学術的にも新たな発見が多数あり,国際会議においても高く評価された. 次年度以降では組み合わせ最適化問題への適用や,メタプログラミングツールの開発にも力を注ぐが,その土台となる研究を今年度から開始し,実現に向けて確かな感触を得ている.
|