研究概要 |
本年度は実験対象動物の観察結果より対象動物を猫及び犬の2種類に絞り,動物の音声とその行動の組のデータを大量に収集した.データの収集方法としてはビデオカメラによって動物と飼い主の行動と音声を録画し,その中から音声と行動の対応しているものを切り出すことにより行なった.また,試作システムの作成を行なった.最初にシミュレーション実験を行なうためのユーザとのインタフェース部分の改良を行なった.第1版の実験システムでは動物の行動データをリアルタイムにセンサーなどを用いて入力することが困難であるため,システムの提示画面に「近づく,尻尾を振る」などの行動を入力するためのメニューボタンを作成した.この実験システムではユーザが動物の行動を見てその様子を入力することになる.また本システムではユーザの発話も動物の応答音声を推定する上での重要な要素になると考え,この部分も音声認識により取り込み入力データとして用いている.すなわち,「お腹が空いたかい?」ということを尋ねたということはこの質問に即した応答,例えば「いいえ,空いていません.」などの応答が行なわれるはずであると推定して応答文を生成するということである.この実験結果により本システムが実現可能であることが確認された.次いで,動物の行動をシステムがビデオカメラより画像として取り込み,画像を処理することにより動物の行動情報をリアルタイムに自動的に取得し動作する第2版の実験システムを作成した.このシステムは動画像中より時間的に隣り合う2つの静止画像の差異部分を抽出することにより動物の顔の向き,尻尾を降っているかどうか,ユーザから遠いのか近いのかなどの情報を収集する.また,鳴き声を入手し,分析する.来年度,この第2版の実験システムを用いて本システムの使い勝手,精度などの定量的な評価を行い,さらなる改善を行なう予定である.
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