本研究の目的は、効果的な少数キーによるテキスト入力の新たな方式を提案し、その有効性を評価することである。この方式は、積極的に「曖昧さ」を導入することによってキーの個数を削減することと、その曖昧さを解消するために利用者ごとに語彙辞書を個別化することを効果的に組み合わせるという発想に基づくものである。本研究期間を通じて、日本語テキスト入力のための10個のキー入力システム(Touch-Me-Key 10)、日本語テキスト入力のための4個のキー入力システム(Touch-Me-Key 4)、非英語、非漢字の言語(タイ語等)に対するテキスト入力システム、数個(4個程度)のキーに相当する入力システムのプロトタイプの作成と評価した。とくに、平成15年度には、前年度より進めていた少数キーによる入力方式の活用に有効なテキスト入力方式を追究し、従来の方式の入力辞書を用いるものではない構成法として、いわゆる「辞書なし」のSancDic方式を提案した。本方式は、これまでの「辞書」による入力単語の同定を行なわないので、新規単語や口語体にも適用できるという特徴を有している。少数キー入力における「辞書なし」入力の有効性を確認し、これらの成果を国際会議ACL2003で発表するとともに、論文誌にも公表した。
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