| 研究概要 |
本年度の研究実績は以下の通りである。
1.データ形式を超えた検索手法の開発
データから形式依存のビット配列情報を捨象し,残された情報を数学的な不変量に縮約して特徴量に変換する手法を確立した.ビット配列情報は,すべて0と1の数字が一定の規則順序に並んだ形式である.従って,この規則順序形式を解いて,単なるビット配列に変換してしまうことで,形式に依存しない内容情報のみを取り出すことができる.しかも,そこから数学的不変量を抽出することにより,内容の特徴を表す情報を得ることができる.この情報に基づいて検索を行えばデータ形式に依存しない情報検索が可能となる.より具体的には,画像情報など二次元配列データに関しても,二次元のビット配列形式を解いて単なるビット配列に変換し,共通のデータフォーマットを有する特徴量に変換する手法を開発した.これにより,種々の構造を有するデータ形式に適用可能な検索手法を得た.
2.検索システムのプロトタイプ作成による性能評価と手法修正
上記で開発した手法やアルゴリズムをデータサーバ計算機にプログラムとして実装した.実装に当たっては,実時間での検索が可能な実用性を重視し,検索対象データを予め上述の方法で変換し,その上でどのような特徴がどのデータに含まれるかを逆に辿ることができる索引情報ファイル方式を用いた.この方法の利点は指定した特徴やある特徴を持つデータファイルから,実データにアクセスすることなく高速に特徴条件に当てはまるデータを検索可能なことである.性能評価として検索精度及び速度を評価した.その結果,一次元データではリアルタイムの検索が可能であることが判明したが,二次元配列データなどの構造データに関しては数分単位の検索時間がなおも必要とされることが分かった.これは最終年度の改良課題であるが,アルゴリズム実装の改良によって克服できる見通しを得ている.
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