研究概要 |
面白いとされているTVゲームをいくつかのジャンルにわたってピックアップして,それらのゲームをプレイする人間の視線の追跡をアイカメラを用いて行なった。この本格的な実験により、ジャンルによって違いはあるものの、そのゲームにどれくらい熟達しているかによって視線の動きに違いがあることがわかった。一般に熟達したプレイヤーは画面のごく一部だけに注目してそれらを見続ける傾向がある。熟達していないプレイヤーは画面の全体をあまり意味なく見渡す傾向が見られる。このような特徴は将棋や囲碁などの思考ゲームを対象とした実験と類似している。熟達の度合いは被験者がそのゲームを面白いと思っているかどうかと相関があることが確認できた。実験においてはある特定の人間がゲームに習熟していく過程を追及した実験を行なうことが重要であると考え、そのための実験を開始した。 ゲームの複雑さが面白さにどう関係するかを明らかにするために、ゲームとしての性質は(ほぼ)同一だが複雑さが異なるようなゲームを試作している。われわれの予想としては、複雑さが大きすぎるものと小さすぎるものの面白さが低く、適度な複雑さのものが最も面白いと感じられるはずである。予備的な実験によってほぼこの仮説が正しいことが示唆されているので、本格的な実験を進めて実証したい。また、既存のTVゲームについて複雑さの観点から分類し、面白いとされている(すなわちよく売れている)ゲームの複雑さに特徴が存在することを示したいと考えている。
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