研究分担者 |
松谷 明彦 政策研究大学院大学, 政策研科, 教授 (00303090)
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研科, 教授 (30134323)
藤正 巖 政策研究大学院大学, 政策研科, 教授 (30010028)
鎮西 恒雄 東京大学, 先端化学技術研究センター, 助教授 (20197643)
中野 正博 産業医科大学, 保健学部, 助教授 (70141744)
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研究概要 |
本年は,我々が今まで研究・発展をさせてきた量子社会システム分析法の基礎付けを行った.量子社会システム分析法は,現代物理学の波動方程式を,経済・金融工学の分野に応用し,過去に類の無い予測システムとして構築することを目標とした.そのための基本型としてファジー平滑}化方式を応用したプロトタイプのアルゴリズムを作り,有病率を用いた将来推計を行ってきた.予測精度は,一般の時系列解析法よりも優れていたが,原子・分子の基礎方程式がマクロな予測に使用できる根拠を問う声も多かった.そこで,我々はその根拠を示すべく,一般のブラウン運動を記述する確率微分方程式の研究を行った.そして,ネルソンの確率過程量子化の方法に習い,一般的な確率微分方程式より,複素拡散微分方程式の一般形を導くことに成功した.量子力学のシュレディンガー方程式は,拡散係数√<h/m>とすることに相当し,また有名な金融工学のブラック・ショールズ方程式は,拡散係数をσX(t)とすることで達成される.これにより,原子・分子の方程式からマクロな経済現象までが,確率過程を通して統一的に理解する道が完成した.また,これにより当初よりの目的であった量子物理学の方法が多用できる道が開かれた.さらに,行動計量学の分野で有名な古川の生命力関数の基本方程式を与えただけでなく,古川・長倉等が,発見的に一般の生命力関数を基本生命力関数と環境関数との積で表現したことに対し,明確な根拠を示した.来年度は,基礎的な応用の範囲と簡単なモデルセット(モデル構築道具箱)の作成,および場の理論への拡張を目指している.また,現在,ロボットを用いた心理的実験,その人の癖・特徴をコンピュータでシュミレーションすることを計画中である.
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