研究分担者 |
松谷 明彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00303090)
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30134323)
藤正 巖 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30010028)
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (20197643)
中野 正博 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70141744)
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研究概要 |
本年年度は,量子ニューロ計算機の基礎となる,相対論的場の量子論(量子電磁気学)の対する研究と,確率微分法方程式から導かれた複素拡散方程式の研究成果の公表に重点を置いた.量子電磁気学分野では,電子と電子の長距離相関をどのような形式で,ポテンシャルに取り込むかは不明である.しかも,仮にポテンシャルを決めたとしても,ハトレー・フォック法を用いたとしても,最低時の励起状態しか計算できない.また,仮に汎関数密度法を用いたとしても,S波のみしか計算できない.しかし,量子計算機を実現するためには,正しく電子の長距離相関を計算できるようにする必要がある.そこで,我々は,ガンマ行列が,運動量に依存しないと言う条件のもとで,量子電磁気学の定式化を行った.物質が存在する条件を用いた(相対論的)量子電磁気学は,幾つかの試みは有るが完成には程遠いものであった.我々は,物質を含む状態で完全に,無矛盾な定式化に成功した.また,非相対論的な物質場の量子効果すら,現段階では時間発展的に解くことは不可能であった.しかし,我々は,さらに高度であり困難であった物資場の量子効果を相対論的に定式化することに成功し,真空偏極や電子のセルフ・エネルギーを取り込んで厳密に解ける形式に持ち込めた.これにより,長年の大問題であった相対論的及び非相対論的に,量子電磁気学に関して,非摂動論的な厳密解を計算できたことになった.このことにより,高次相関作用を望まれる精度まで正確に計算することが可能となり,新しい量子計算機の構造や発展に大いに貢献すると考えられる.
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