研究課題/領域番号 |
14658128
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
後藤 篤 姫路工業大学, 理学研究科, 助手 (50211917)
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研究分担者 |
井口 博夫 姫路工業大学, 環境人間学部, 教授 (40112073)
佐藤 裕司 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (80254457)
森永 速男 姫路工業大学, 理学研究科, 助教授 (40210182)
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キーワード | 第四紀 / ケイ藻土 / テフラ層 / 年稿 / 火山活動 / 帯磁率 / 残留磁化 / 火山ガラス |
研究概要 |
岡山県の蒜山原地域のケイ藻土堆積物は、主にケイ藻の遺骸からなり、濃緑色と淡緑色のラミナのリズミックな繰り返しを示す。このラミナ対がほぼ2mmで、年稿を示すことで知られている。チョコバンド層や粘土〜砂〜礫の粒度を持つテフラ層がラミナと平行に堆積する。蒜山の昭和化学工業株式会社のケイ藻採土場で、約20mにわたる露頭観察を行うと共に、連続約16m(凡そ8000年間の記録)の試料を採取した。試料は、一辺2.2cmのプフスチックキューブで採取し、総数は800近くにのぼる。帯磁率と残留磁化強度を測定し、一般には両者共に小さな値を示した。薄片観察の結果、淡緑色のラミナ部分はケイ藻の遺骸が大部分を占め、濃緑色の部分はケイ藻が卓越するが、粘土鉱物の割合も高い。これらは、ケイ藻土が純粋であることを示す。 帯磁率と残留磁化強度の各か、両者が高い値を持つ部分があった。それらの部分に関して、鉱物組み合わせを調べた。帯磁率が高く残留磁化強度が低い部分の試料からシデライトが検出された。シデライトは淡水湖で還元性の高い夏場の底層に自生する。古蒜山原湖が淡水の湖であったことと、夏場の湖底が還元環境を持っていたことが分かった。 20程度の試料を水洗して篩い分けをしたところ、どの試料からも少量ではあるが火山性の堆積物が確認できた。自形の角閃石、斜長石、斜方輝石、単斜輝石、黒雲母、磁鉄鉱、火山ガラスである。火山ガラスが付着した鉱物もみられた。 堆積物の上部の10枚程度のテフラ層は、帯磁率と残留磁化強度が高い。これらは、堆積速度の速い湖の底に堆積したため、かなり薄いテフラ層でも保存が良く、確認も容易であった。テフラ層の間のケイ藻土堆積物の厚みから、火山活動の周期が分かった。この上部の堆積期間(約600年間)に、10回程度の火山活動があった。平成14年の合同学会で成果の一部を報告した。
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