研究概要 |
先端が厚さ100μmのナイフエッジ状に削られた幅1cmの電極を〜100μmのマイクロギャップを隔てて対向させ,これに2.45GHzのマイクロ波を給電して電極間にマイクロプラズマを生成する装置を製作した。電極をストリップライン構造の終端に設置し,線路を含めたマイクロ波供給系を適切な共振構造とすることによりギャップに高電圧を発生させプラズマを生成する。このマイクロギャップ放電装置を用い以下のことが明らかになった。 1.大気中で空気放電によりマイクロギャップ中に均一なプラズマを連続的に生成することができる。トムソン散乱計測の結果,電子密度は10^<15>cm^<-3>を上回り,電子温度は1〜2eVであった。一方,N_2の発光スペクトルから推定されるガス温度は1800K程度であり,電子温度よりはるかに低い。これにより高密度非平衡プラズマの連続生成が確認された。 2.プラズマ生成部を加圧チャンバに封入し,Xe/He混合系およびAr/He混合系を用いて0.5〜2atmの圧力領域でプラズマを生成し,真空紫外分光を行い,Xe_2及びAr_2エキシマーの発光を確認した。しかし,圧力およびマイクロ波電力を増加させてもエキシマー発光は大きく増加しなかった。この原因はマイクロギャップ内のガス温度の上昇に原因があると推定される。 3.マイクロギャッププラズマのガス温度を低下させるため,予備的な実験として,チャンバ外に出したプラズマ生成部にHe/N_2(5%)混合ガス(1気圧)をフローさせながら導入し,N_2の発光スペクトルの観測から,ガスフローがプラズマ内のガス温度に与える影響を調べた。この結果フローによりガス温度の低下が実現できることが確認できた。今後は加圧チャンバ内にガスフローを導入し,ガス温度低下によるエキシマー生成の高効率化を行う。
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