研究概要 |
レーザー核融合における燃料プラズマ密度は,従来はX線の透過像を撮影するラジオグラフィーにより測定されていた.これは燃料を模擬したプラスチックによる光電吸収を測定するものである.しかし本来の核融合燃料プラズマには束縛電子が存在しないのでこの方法は利用できない.したがってミクロンの空間分解能をもつX線干渉顕微鏡が必要となっている.X線の干渉系は高密度プラズマ診断から生体観測に至るまで様々な分野での応用があるにもかかわらず,これまでの成功例は軟X線領域に限られていた.これは光源であるX線レーザーの講師エネルギーが軟X線領域に限られていることと,多層膜ミラーなどの光学素子を製作することがkeV以上の領域では原理的に困難であることが理由である. 本研究の目的は(1)X線干渉系の構成要素である回折光学素子の性能をテストすること,(2)回折光学を利用したX線干渉系の実現可能性を調べることである. 本年度は ・X線源用のターゲットにレーザーを照射し,アルミニウムのHe-α線を発生させた. ・これを光源として位相型回折格子の回折特性をテストし所用の性能を確かめた. ・フレネルゾーンプレートによりX線並行ビームを形成した. ・干渉系を形成するのに必要な回折格子の設定精度を求めた. 以上の結果,回折格子の回転角の設定と,単色性の2点を改良することにより,keVX線干渉系の実現は可能であることを示した.
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