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2002 年度 実績報告書

陽電子消減法による超臨界流体のミクロ構造の探究

研究課題

研究課題/領域番号 14658143
研究機関東北大学

研究代表者

工藤 博司  東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80261543)

研究分担者 木野 康志  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272005)
関根 勉  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20154651)
キーワード超臨界流体 / 二酸化炭素 / 陽電子寿命 / オルトポジトロニウム
研究概要

超臨界二酸化炭素中における陽電子寿命の測定を効率的に行うために、今年度はまず実験システムを組み上げた。セルはステンレス製の長い筒型とし、セル内の中央部に陽電子を発生させる線源を配置できるようにした、また、セル外側のBaF_2検出器の設置にあたり、測定の際の幾何学的な検出効率を大きくできるように恒温槽を製作した。二酸化炭素中における陽電子寿命の測定を開始したが、気相・液相・超臨界流体のいずれの場合においても、少なくとも3種類の寿命成分(寿命の短いほうから第一成分、第二成分、第三成分と呼ぶ)を示す時間スペクトルが得られた。このうち、第一成分は媒体の状態によっても寿命変化やその強度変化が見られなかったが、他の成分は寿命と強度が大きく変化した。長寿命の第三成分はオルトポジトロニウムに由来しており、圧力と温度の双方の変化によりその寿命が鋭敏に変化した。測定されたオルトポジトロニウムの寿命は5ナノ秒から50ナノ秒という大きなダイナミックレンジであった。さらに、圧力一定の条件下において温度を変化させると、気相と液相の境界線の前後において特に急激な寿命変化が見いだされたが、超臨界領域においてはその変化がしだいに緩やかになることがわかった。寿命の逆数で与えられる壊変速度と媒体の二酸化炭素分子の数密度との間には正の相関が見られ、密度の増加とともに壊変速度が増加する様子が表された。これにより、気相・液相・超臨界流体などの相状態に関わらず、オルトポジトロニウムの消滅に関して統的な解釈が可能となった。今後、他の寿命成分の変化に対しても詳細に検討する。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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