研究課題/領域番号 |
14658145
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
赤塚 洋 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50231808)
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研究分担者 |
鈴木 正昭 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114874)
松浦 治明 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (70262326)
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キーワード | 窒素プラズマ / マイクロ波放電 / 振動励起状態 / 同位体効果 / 振動温度 / 回転温度 / 非平衡 |
研究概要 |
放電プラズマ内の化学反応を利用して、窒素の同位体分離を行うために、振動励起状態の数密度分布に関する理論検討から研究を開始した。窒素の放電プラズマ中の振動励起状態は、Boltzmann分布からはまったくかけ離れた非平衡な分布を示すのが一般的で、さらにその中に、極めて強い同位体効果が計算の結果見いだされた。このとき、重い同位体である^<14>N^<15>N分子の振動励起状態の数密度が、^<14>N_2に比べて高くなる。同位体比にして数十もの濃縮が期待でき、放電気圧が10Torr程度でも同位体効果が見られるのが特徴である。しかしながら、放電気圧を低下させた場合には、本来ならば衝突による緩和の効果が低下して同位体効果を大きく期待できるはずにも拘わらず、窒素分子の原子への解離が盛んとなり、同位体効果の低下することが確認された。およそ最適な放電条件は(5-10)Torrのマイクロ波放電にて、電子温度が1eV以下、電子密度が(5-8)×10^<11>cm^<-3>程度、ガス温度1000K以下であることが判明した。 こうした計算結果をふまえて、実験的研究の第1段階として、上記の放電条件で窒素プラズマをマイクロ波放電により発生させ、プローブ計測による電子温度・密度の測定、分光診断による振動励起状態の数密度測定、回転温度測定を実施した。分光診断は、窒素分子2nd Positive Systemの発光分光計測により実施した。回転スペクトルの分離は不可能であったが、計算により求めたスペクトルとの比較により回転温度も容易に求めることができた。理論検討により求められた同位体分離に最適な上記のプラズマパラメータは、マイクロ波放電によって比較的容易に達成できることが確認された。
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