研究概要 |
振動励起状態の数密度分布に関する理論検討を昨年度に引き続き実施した。重い同位体である^<14>N^<15>N分子の振動励起状態の数密度が、^<14>N_2に比べて高くなる。しかしながら、注意すべきは、解離した窒素原子の振る舞いである。解離した窒素原子は、振動-並進緩和の効果が大きく、せっかく生成された窒素分子の振動励起状態をかなりな速度係数で脱励起させることが判明し、しかも1量子遷移ではなく、多量子遷移がおおきくなるため、同位体効果を期待するには、窒素分子の解離はよく際せねばならないと言う結論に達した。 こうした計算結果をふまえて、2年度目の実験的研究として、解離度を抑えた窒素プラズマの生成の研究をおこなった。そのための要諦は、放電圧力を高めにして、電子温度の低下を図ることであることが判明した。研究に着手する前の見通しとしては、高い放電圧力では、同位体間の緩和が進むために、同位体効果を期待できないのではないかという恐れもあったが、10Torr程度の放電圧力でも十分同位体効果を期待できる上に、放電下流域では電子温度の低下が速やかに達成され、そのため解離度を抑制できることも判明した。従って、窒素同位体のプラズマ法による分離のためには、数Torr〜10Torr程度の放電圧力で、放電下流域を利用することが最適、との結論に達した。この際、電子温度としては約0.5eV,電子密度としては約5x10^<11>cm^<-3>,ガス温度としては0.08eV程度の比較的低温のプラズマであることが判明した。
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