研究概要 |
H14年度に引き続きH15年4月からH16年3月までの間に、八方尾根において80検体以上の降水試料を採取した。また八方尾根との比較のために都市部の長野県衛生公害研究所(長野市)においても、H15年9月より1週間単位で降水試料を採取した。これらの試料は、H14年度同様に溶解性成分(ろ液)と不溶解性成分(残査)に分けて鉛同位体比の分析を行った。 ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)による鉛同位体比の分析方法について詳細な検討を行い、鉛同位体比の分析精度がCV%で0.5から0.2に向上した。また不溶解性成分の分析方法について検討した結果、硝酸、過塩素酸、ふっ酸による、ろ紙の酸分解法を確立した。 採取・保存した試料のうち、溶解性成分についてはH14年4月からH15年10月採取分まで、また不溶解性成分についてはH14年4月からH15年5月採取分まで分析を実施し鉛同位体比を確定した。このうちH14年度分の鉛同位体比分析結果について基礎的な解析を行い、鉛同位体比の値やその季節変化の特徴をまとめ、H15年12月の国際ジョイントセミナー、The Ninth International Joint Seminar on the Regional Deposition Processes in the Atmosphere (バンコク)において、Measurements of Trace Metals and Lead Isotope Ratio in Precipitation at Mt.Happo, Central Japan : T.Katsuno, M.Kawamura, K.Nakagomi, H.Mukai, K.Muranoで発表した。 今後は引き続き鉛同位体比のデータを蓄積するとともに、気象データと合わせた解析を進め、アジア大陸からの越境大気汚染の定量化を行う。
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