研究概要 |
1.タバコ属植物のファイトレメデエーション植物(ファイトレメデエーター)としての特性解析 栽培タバコ(品種,Ky57)の6葉期の幼植物を1週間水耕栽培して,タバコ植物が根から吸収する窒素量(N)を測定した.水耕栽培液は,NとしてNO_3-NとNH_4-Nを等量ずつ含み,かつ,Total-N濃度が10mM,および50mMの試験液を用いた.さらに共存する高濃度塩類のN吸収に対する影響をみるために,上記のTotal-Nを含む水耕栽培液に0,50,100mM NaClを添加した.以下の点を明らかにした. (1)タバコ植物は,N濃度が高い水耕栽培液から効率よくNを吸収した.50mM Total-Nの水耕栽培液から吸収されたN量は約0.3〜0.4nmol/g新鮮重量であり,10mM Total-Nの水耕栽培液から吸収されたN量0.05nmol/g新鮮重量の6〜8倍であった. (2)タバコ植物のN吸収に対する高濃度NaClの抑制効果は小さかった.すなわち,50mMTotal-N水耕栽培液を用いた場合,50または100mM NaClを添加した場合のN吸収量は,それぞれ,およそ0.31,0.23nml/g新鮮重量となり,NaClを添加しない場合(0.35nml/g新鮮重量)の89%,66%であった. これらの結果から,タバコ植物は高濃度塩類を含む農業・畜産排水のファイトレメデエーターとして有効であることを推察した. 2.タバコ植物に水耕栽培適性を付与する遺伝子の探索 植物に水耕栽培適性を付与する遺伝子のクローニングの準備のため,クローニング材料に用いる水棲植物としてウリカワとヒルムシロを選び,栽培増殖に着手した.
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