本研究では、広域エコロジカルネットワークの構築が進んでいるドイツのビオトープ図に取り組んでいる代表的地域を取り上げ、事前にその状況を把握した上で、実態調査を行う。具体的には、ノルトライン・ヴェストファーレン州及びバイエルン州のビオトープ図について調査する。最終的に、北九州工業地帯を事例として、広域エコロジカルネットワークの構築を提案する。本研究は、文献調査と現地調査を主たる方法として作業を進行している。平成14年度は、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州にて広域エコロジカルネットワークの現地調査を行い、そして、バイエルン州広域エコロジカルネットワークの資料収集も行った。環境問題の根本として自然生態系がとらえられているドイツを中心として、欧州のエコロジカルネットワーク構築が着々と実現されていることが分った。ドイツだけで、200以上の自治体が、広域エコロジカルネットワーク計画を作成し、実行している。現在、ドイツでは連邦自然保護・景観生態学研究所が中心となって、ビオトープのデータ化及びビオトープ図化の手法は確立されている。都市開発による、自然環境が減少している現状であり、生物多様性を確保するため、国レベル及び州レベルの自然保護法によって残された自然の保全対策が推進されている。また、都市域では、自然復元が行われ、これらの復元された自然をエコロジカルネットワークとする取り組みが見られる。 平成15年度の研究計画としては、バイエルン州広域エコロジカルネットワークの現地調査を行い、また、ドイツの対象調査地域の比較も行う予定である。
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