研究課題
本年度は、(1)簡易分析法の確立、(2)マグネシウム化合物の性状、添加量等のフッ素除去特性に対する評価、および(3)除去装置の試作および検討を行ったのでその概要について報告する。全フッ素分析にはガスクロマトグラフ法を採用することにより分析時間をJIS法に比べ大幅に短縮できた。フッ素標準溶液は、市販特級のフッ化ナトリウムを水に溶解して1000mg/Lの溶液を調製し、使用時に適宜希釈して用いた。その他の試薬は市販の特級品を用いた。前処理の最適化において検討した項目は、塩酸濃度、TMC(トリメチルクロロシラン)添加量、反応強度、反応時間、溶媒抽出強度および時間である。その結果、塩酸濃度20%、TCM添加量1ml、反応強度5目盛り、反応時間30s、溶媒抽出強度30sおよび溶媒抽出時間30sに決定した。本法で検量線を作成したところ、40mg/Lまで直線性を示した。また再現性は10±0.1mg/Lであり、精度良く分析できることがわかった。マグネシウム化合物は、(1)水酸化マグネシウムスラリー、(2)マグネシア焼結粉体A(焼結温度300〜500℃)、(3)同B(焼結温度800〜1000℃)および(4)マグネシアクリンカーの4種とした。その結果、(1)スラリーは若干効果が認められたが、(4)クリンカーはほとんど効果が認められなかった。また、焼結粉体ではAの方が除去性能が優れていた。これはAの非表面積が100〜150m^2/gであり、Bの20〜30m^2/gに比べ大きく異なっていたためと思われる。したがって、マグネシウムは焼結温度300〜500℃の粉体Aを用いることとした。添加量は規制値8mg/Lを切るためには、5kg/m^3以上必要であることがわかった。装置は、室内実験装置として(1)流動床型および(2)造粒式流動床型を試作し検討した。材質は透明塩ビ製とし、MgO投入量0〜10kg/m^3原水、粉体濃度5.0kg/m^3以上、原水(反応槽)滞留時間30minおよび処理水(分離槽)滞留時間30minとした。その結果、MgO添加量0.2kg/L排水でフッ素処理濃度5mg/Lとなり、規制値を満足した。平成15年度は、実排水による連続実験を行い評価およびプロセス設計を行う予定である。